セクシャリティ(性)ってなに?

コラム:LGBTQ基礎知識

理学療法士でトランスジェンダーのJUNです。

今日は、セクシャリティとは何か?というテーマです。

トランスジェンダーをはじめとしたセクシャルマイノリティ(性的少数者)について考えたり、医療現場や教育現場などでの対応を行う時には最初に理解しておきたい概念です。

セクシャリティとは、日本語では「性」となります。

多くの人は「性別」というと「男か女か」の二択だと思うかもしれません。

しかし、性別を考える時、もっと多くのことを考える必要があります。

世界性科学学会:WAS(World Association for Sexual health)の「性の権利宣言」によると、

セクシュアリティ(性)は、生涯を通じて人間であることの中心的側面をなし、セックス(生物学的性)、ジェンダー・アイデンティティ(性自認)とジェンダー・ロール(性役割)、性的指向、エロティシズム、喜び、 親密さ、生殖がそこに含まれる。


https://www.jase.faje.or.jp/

とされています。

セックス(生物学的性)とは、身体の性別のことで、生まれた時に割り当てられた性別です。多くの人が考えている「性」がこれに当たります。男か女かで分けられていましたが、性分化疾患などの男女両方の性器がある人達の存在が明らかになることで、現在は身体的性別が明確に2つに分けられることへの疑問が出始めています。

ジェンダー・アイデンティティ(性自認)とは、心理的性別、性同一性とも言われています。自分の性別に対する認識のことで、身体の性別と必ずしも一致するわけではありません。「自分は男である」「自分は女である」「自分は男でもあり女でもある」「自分は男でも女でもない」といった心理的性別のことを指しています。

ジェンダー・ロール(性役割)とは、social sex roleともいいます。社会生活をおくる時の性別です。いわゆる「男らしさ」や「女らしさ」といった概念と直結するのではないかと考えます。男は背広にネクタイを締め、力仕事を任せられる。女はスカートとヒールの高い靴を履き、お茶出しをする。こういったいわゆる「男らしさ」「女らしさ」の言動を求めることやそれに沿った行動をとる時の性別がジェンダー・ロールとなります。

医療現場で考えてみると、男性は復職や役割の再獲得、女性患者では家事動作が必要となってくると考えることが多いのではないでしょうか。

性的指向(sexual orientation)とは、性的魅力を感じる対象の性別のことです。性的指向は、生物学的性別と切り離して考えるのが良いと考えます。心理的性別が女性の人が男性に対して、心理的性別が男性の人が女性に対して性的魅力を感じることを異性愛と言います。心理的性別が男性の人が男性に対して、女性の人が女性に対して性的魅力を感じることを同性愛と言い、それぞれゲイ、レズビアンと言います。「ホモ」という言葉は差別用語なので使ってはいけません。男性にも女性にも性的魅力を感じる人をバイセクシャル(両性愛者)、どちらにも性的魅力を感じない人をノンセクシャルと言います。生物学的性別や心理的性別と切り離して考えることで、多数派の異性愛の概念にとらわれずにその人自身を見ることが出来ます。

性的嗜好(sexual perference)とは、性的興奮を得るための刺激や空想などのことを言います。

性的反応とは針間氏によると「性交等の性的興奮状態時における身体および心理的反応」のことです。

生殖とは同様に針間氏によると「生殖能力(産める、産めない)の問題、生殖意思決定(産む、産まない)の問題にそれぞれ分けて考えていく」必要があります。

これらを総括したセクシュアリティ(性)についてWASは「性の権利宣言」で続けてこの様に述べています。

セクシュアリティは、思考、幻想、欲望、信念、態度、価値観、行動、実践、 役割、および人間関係を通じて経験され、表現されるものである。セクシュアリティはこうした次元のすべてを含みうるが、必ずしもすべてが経験・表現されるわけではない。セクシュアリティは、生物学的、心理的、 社会的、経済的、政治的、文化的、法的、歴史的、宗教的、およびスピリチュアルな要因の相互作用に影響される。

性と一言で言っても多くの性別があるように、性別は多様です。

1人として同じ性別の人はいません。

わかりやすいところで言うと、男らしさや女らしさを求めるジェンダー・ロールの捉え方も人それぞれです。

生物学的性別だけでなく、ジェンダー・アイデンティティ、ジェンダー・ロール、性的指向、性的嗜好など全ての性別を尊重することが重要です。

患者さんの目標設定などを行う時や入院前ADL動作の確認などをする時、生物学的性別にだけとらわれるのではなく、多様な性があることを思い出し目の前の一人の人として接っすることを心がけてみてください。

JUN