理学療法士でトランスジェンダーのJUNです。
今回は、FTMへの男性ホルモン投与量と効果が現われる時期に関する2009年の学会発表の抄録に掲載された内容を紹介します!!
- ホルモン注射を始めたいけど量と頻度がわからない人
- ホルモン注射をすでに打ち始めてるけど、量や頻度に不安がある
におススメの内容です。
この発表では、新規で男性ホルモンを注射を開始したFTM94例を対象として経過報告をしています。
ホルモン注射の種類はテストステロンデポ製剤です。
ホルモン投与量と間隔は
1回125mg:2週間間隔
1回250mg:2週間間隔
1回250mg:3週間間隔
で月経の停止率、声変りの率、髭の増加率を3か月後、6か月後で比較しています。
月経の停止率
月経の停止率は
3か月後
1回125mg2週間間隔 ➡91%
1回250mg2週間間隔 ➡85%
1回250mg3週間間隔 ➡65%
6か月後
1回125mg2週間間隔 ➡95%
1回250mg2週間間隔 ➡98%
1回250mg3週間間隔 ➡80%
という結果になったようです。
つまり、
月経の停止率は 1回250mg3週間間隔 で低かったようです。
低声化率
低声化率、つまり声が低くなった率は
3か月後
1回125mg2週間間隔 ➡68%
1回250mg2週間間隔 ➡71%
1回250mg3週間間隔 ➡90%
6か月後
1回125mg2週間間隔 ➡95%
1回250mg2週間間隔 ➡86%
1回250mg3週間間隔 ➡97%
という結果になったようです。
つまり、
3ヶ月・6ヶ月ともにホルモン量と間隔に大きな差はなかったようです。
髭の増加については、抄録を読んでください!!
まとめ
FTMのホルモン治療では、声が低くなる率は量と間隔に大きな差は見られていませんが、月経停止率で差が出てきていました。
月経停止率で最も効果のあったのは 1回125mg2週間間隔 だったようです。
ここからは私見ですが、
250mg2週間間隔で大きな効果が得にくい理由として、男性ホルモンと肝臓でも説明していますが、男性ホルモンの吸収量や吸収率が決まっているためだと考えられます。
また、健康面を考えると男性ホルモンは肝臓に負担をかけることにもなります。体格やSRSの有無にもよりますが、250mgを2週間間隔で打つことは健康に良くないだけでなく、効果も得られにくい可能性が考えられます。
文献紹介
演題名:性同一性障害患者(FTM)に対するテストステロン補充量の検討
発表者: 大石 智子, 石井 和史, 渡部 昌実, 公文 裕巳, 松本 裕子
発表学会:第97回日本泌尿器科学会総会
掲載学会誌: 2009年100巻2号p.348-
2020.2.20 JUN